デヴィッド・ボウイの1971年4作目となるアルバム『ハンキー・ドリー HUNKY DORY』です。シングル・ヒット曲の「チェンジス Changes」や「火星の生活 Life On Mars?」「アンディ・ウォーホル Andy Warhol」「ボブ・ディランに捧げる歌 Song For Bob Dylan」「クイーン・ビッチ Queen Bitch」は、曲名に表れているように、ボウイが影響を受けたアーティストであるアンディ・ウォーホル、ボブ・ディラン、ルー・リードに捧げられた曲です。また「ユー・プリティ・シングス Oh! You Pretty Things」は息子のゾウイ君(ダンカン・ジョーンズ)の誕生の歓びを歌にした曲です。また、アルバム・ラストの曲「ザ・ビューレイ・ブラザース The Bewlay Brothers」は、ボウイが少年期から多大な影響を受けた精神病院に居る実の兄への思いが綴られたアートロックの名曲の一つだと思っています。
ボウイの初期代表曲である「火星の生活 Life On Mars?」はフランク・シナトラの大名曲「マイ・ウェイ」と全く同じコード進行の曲です。このユニークな名曲の原曲は1967年のクロード・フランソワによるフレンチ・ポップス「コム・ダビチュード Comme d'habitude」で、作詞はクロード・フランソワ、ジル・ティボ、作曲はクロード・フランソワ、ジャック・ルヴォーです。ボウイは1968年に「マイ・ウェイ」の原曲「コム・ダビチュード」に新たな英語詞を付けた「Even a Fool Learns to Love」を作っていますがお蔵入りとなってしまいました。そこで、数年時を経てボウイによる「マイ・ウェイ」のパロディ版的な「火星の生活 Life On Mars?」を発表することになりました(作詞、作曲共にデヴィッド・ボウイ)です。ボウイ・ファンとしては残念ですが、フランク・シナトラや他の多くの方々のカバー曲「マイ・ウェイ」はポール・アンカによる作詞の英語版です♪
数あるボウイ名盤の中でもとりわけ美麗なジャケットの『ハンキー・ドリー HUNKY DORY』ですが、フロント・カバーアートの担当は、ボウイとはザ・キング・ビーズ時代からの友人であるジョージ・アンダーウッド George Underwoodと、後にソフト・マシーンやキャメルなどのアートデザインも手掛けるイラストレーターのテリー・パスター Terry Pastorによるものです。また、プロデュースはケン・スコットです☆