70年代アメリカの郊外。リズボン家には美しい5人姉妹がおり、近隣の少年達は皆、憧憬を抱いていた。ある日、末娘セシリアが自殺を図る。一命を取りとめた彼女に、医師が「まだ人生の辛さを知る年齢にもなっていないのに」と諭すと、彼女は「でも先生は、13歳の女の子になったことはないでしょ」という意味深な言葉を残す。数日後、自宅で開いたパーティーの最中、ひとり部屋に戻り窓から身を投じる。セシリアの死後、四女のラックスが引き起こした事件を機に、姉妹はリズボン夫人によって自宅での軟禁状態に陥る。少年達は、そんな彼女達を救い出そうと試みるのだったが・・・。
監督のソフィア・コッポラは、少年達の記憶の中で神格化された彼女達の思い出、イノセンスの象徴としての彼女達のミステリアスな存在感を上手く引き出し、思春期の抑圧された感情と、過酷な環境の中で、両親も同年代の少年達でさえも踏み込めない場所、そこに留まることを選んだ姉妹達のイノセンスの輝きと哀しみを見事に描き出した。
美しい10代の5人姉妹の謎めいた自殺と彼女達に魅了された近隣の少年達の日常の思い出を回想形式で綴る本作は、観る者に、自分の失われた思春期の苦く甘美な記憶を思い起こさせるであろう。
物悲しさと甘美さは美しい少女達のみならず、映像と音楽も見事に融合しています。“新世代のガーリームービーの誕生!”と謳われるに値する名作だと思います。
1999年 アメリカ映画 タキコーポレーション
98分 字幕スーパー STEREO Hi-Fi VHS 現在廃巻です。
ジャケット:A 本体:A
ヴァージン・スーサイズ / THE VIRGIN SUICIDES
監督:ソフィア・コッポラ
製作:フランシス・フォード・コッポラ / ジュリー・コスタンゾ / ダン・ハルステッド / クリス・ハンレイ
製作総指揮:フレッド・フックス / ウィリ・バール
原作:ジェフリー・ユージェニデス 『ヘビトンボの季節に自殺した五人姉妹』
脚本:ソフィア・コッポラ
撮影:エドワード・ラックマン 音楽:AIR(エール)他
出演:キルステン・ダンスト / ハンナ・ホール / ジェームズ・ウッズ / キャスリーン・ターナー / ジョナサン・タッカー / ジョシュ・ハートネット / チェルシー・スウェイン / A・J・クック / レスリー・ヘイマン / ダニー・デヴィート / マイケル・パレ / スコット・グレン / ロバート・シュワルツマン / ヘイデン・クリステンセン / ジョー・ディニコル
声の出演:ジョヴァンニ・リビシ