これこそヨーロッパ。これこそ映像美!才人ジャン・コクトーの監督としての代表作のひとつ。ボーモン夫人の有名なおとぎ話を、原作以上にファンタジックな世界として映画化した。野獣が孤独に暮らす森のなかの屋敷に迷いこんだ商人。野獣のお気に入りのバラを折ってしまった彼は、身代わりに娘ベルを差し出せと迫られる。ベルは自ら森の屋敷に赴き、野獣の心に優しさを見つけるが…。ベルに求婚する男と野獣の2役を演じるのがジャン・マレー。自らの美神でもあるマレーに、恐ろしい野獣メイクをさせたところに、コクトーのサディスティックで屈折した愛が感じられる。野獣に対して遠慮なく「醜い!」と言い放つベルをはじめ、周囲の人物のトゲのある会話もコクトーならでは。燭台の手や彫像の顔が本物の人間であるという屋敷の美術や、過剰なほどゴージャスなファッションの魅力は、モノクロの画面でも十二分に伝わってくる。凝った背景に、結末を含めて予想を超える唐突な展開、俳優たちの(いい意味での)大げさな演技。この様式美は、歌舞伎と通じるものがある。(DVDデータより)
1949年 フランス映画
95分 DVD アイ・ヴィー・シー 定価3990円
監督・脚本:ジャン・コクトー 共同監督:ルネ・クレマン 原作:ルプランス・ボーモン夫人 撮影:アンリ・アルカン 音楽:ジョルジュ・オーリック 出演:ジャン・マレー、ジョゼット・デイ、ミシェル・オークレール、マルセル・アンドレ、ミラ・パレリ
※未開封新品です。