“トラフィック”という原題通りのタイトルで95年に正式に劇場公開となったジャック・タチの、文明批評の強く出た快作。ユロ伯父さんシリーズの第4弾だ。ムッシュ・ユロは自動車メーカーのデザイナー(珍しく定職についている)。モーター・ショウ出品のために、自作のキャンピング・カーをパリからアムステルダムに運ぶのだが、渋滞や事故に巻き込まれ(といってもそれすら、ただの雑然とではなくスマートに演出されて見事なのだが)、警察や善意の他人の引き留めに遭うわで、結局、彼ら(アメリカ人のPR担当者マリアも同乗)の辿り着いた頃にはショウは終わっているという寸法。パリに戻って、また渋滞で身動きのきかない道路を、車を捨てマリアと相合い傘で去っていくユロ氏追うように、みなも車を捨て、色取り取りのその間を黒い糸が抜うように傘をさして消えていくラストが素晴らしく美しい。工場で車が完成していく風景に被るタイトルも大変モダンにデザインされ、全篇にタチの洒落っ気が横溢するコメディだ。(参照:allcinema)
旧タイトルは『ぼくの伯父さんの交通大戦争』でした。
1971年作品 発売:1996年 フランス映画 カルチャー・パブリッシャーズ 税抜定価3800円
115分 字幕スーパー MONO Hi-Fi VHS 現在廃巻です。
トラフィック / TRAFIC
監督:ジャック・タチ
製作:ロベール・ドルフマン
脚本:ジャック・タチ / ジャック・ラグランジュ
撮影:エドワード・バン・エンデン / マルセル・ウェス
音楽:シャルル・デュモン
出演:ジャック・タチ / マリア・キンバリー / マルセル・フラバル / オノール・ボステル
ジャケット:B+ 本体:B