愛は復讐より強く、激しい。
もし、人種が違うというだけの理由で愛を引き裂かれ、生命まで奪われたら?残念ながら今日なお、民族・宗教・階級などにからみ、同様の事件はしばしば起きている。まして半世紀以前、殊にアメリカでは黒人男性と白人女性の交渉はタブーで、映画でさえ認められなかった。この異色作はこうした問題についてやや自由なフランスで作られた。
ガスト監督はなかなかの腕前で、リンチに遭った弟の復讐のサスペンスと「ロミオとジュリエット」を思わせる恋愛劇を巧みに結び合わせ、ドライなタッチはフィルム・ノワール(暗黒街映画)的で、エロチックな描写も、当時はまだハリウッドでは許されなかった濃厚な味で、ここだけ見ても堪能に値する。アントネッラ・ルアルディも実に美しい!
原題の意味は文字通り「おれはおまえらの墓に唾を吐いてやる」で、ボリス・ヴィアンがヴァーノン・サリバン名義で出版した小説『墓に唾をかけろ』(1946年)を原作で、映画化に当り脚本も担当していたボリス・ヴィアンは、試写の段階で惜しくも39歳という若さで死去された。
1959年 フランス映画 IVC 定価3800円+税 廃盤
104分 DVD 日本語字幕 言語:フランス語 音声:モノラル
ジャケット:A+ 本体:S
※状態はとても綺麗です。
墓にツバをかけろ/J'IRAI CRACHER SUR VOS TOMBES
1959年・フランス映画
監督:ミシェル・ガスト
原作・脚本:ボリス・ヴィアン 原作 『墓に唾をかけろ』
撮影:マルク・フォサール 音楽:アラン・ゴラゲール
出演:クリスチャン・マルカン、アントネッラ・ルアルディ、フェルナン・ルドー、ルナート・ウェール、ポール・ゲール、マリナ・ペトローバ、カトリーヌ・フォントネー