雑誌特派員として20年。パリは今でも熱狂的で、ロジカルで、どことなくよそよそしい…。ガイドブックには載っていない街の魅力、パリのリアルな息吹を、四季折々に伝える。装丁も品のある美しいものです。巻頭にはカラーページもあり、ジャンヌ・モロー、カトリーヌ・ドヌーヴ、ジェーン・バーキン...の姿も拝見できます。
20年間もパリで仕事をしていたので、これまでいろんな人たちに花を贈った。イザベル・アジャーニやジャンヌ・モローやカトリーヌ・ドヌーヴ、モニカ・ベルッチといった女優たちにも贈ったが、アジャーニ以外からはみんな嬉しそうに肉声で、お礼の電話をもらったものだ。ジャンヌ・モローからの電話は、事務所の留守電のテープに入っていた。「ちょっと、あなた、いるの?出たくないの?どうでもいいわ。あんなに香りのいい芍薬の花、みたことないわ。本当に、メルシー」
低いあのビロードのような滑らかな声でメッセージが残っていた。夜遅く事務所にかけたのに私が出ないので、居留守を使っているとでも思っているようだった。(本文・帯より)
文芸春秋 2008年 初版 定価1429円+税 全222頁
単行本 帯・カバー付
※全体的に綺麗な状態です。