マリア・カラスはまだ”犠牲”という言葉は使わなかったが、顔なき群衆のために戦ったり、わが身を捧げたりするのは価値があることなのか、と自分に問いかけていた。拍手喝采をうけても、やがて自分自身の解決できない多くの問題を抱えたまま一人ぼっちにされる。そんな拍手を得るために苦しむのかと、それはついに解決をみることのない葛藤の始まりだった。(本文より)
プリマドンナが、ひとりの女として、生きることは許されないのか―。妥協せず、自己を克服する厳しさと、女としての試練に耐える勇気が、炎のような舞台に実を結ぶ。“世紀のプリマ”という栄光のかげで、マリア・カラスは、彼女自身の愛や苦悩をどのように生きたのか?13歳でオペラの世界へ入って以来、舞台にわが身を捧げ、ひたむきに情熱を昇華しつづけた、53年の生涯を辿る。
カバー・写真:『王女メディア』より
新潮社 1987年 初版 定価1800円 全264頁 絶版
単行本 カバー付
※カバーややスレ等あります。
中の頁の状態はとても綺麗です。