2011年06月14日
少女時代の甘い夢から醒めては微睡む刻★メレディス・モンク(MEREDITH MONK)を聞きながら♪
2年程前にあわや救急車!?という厄介な持病の胃腸障害による激痛に襲われた。暫くして治まりお仕事をしながら聴いていた愛しき音楽。また時期を同じくして何故か私はこのアルバムに呼ばれたかのようだった。膨大な作業が私を待っている。愛しき音楽たち。持病とやらは厄介でどうしようもないけれどこれも私。どうした訳かまったく儲かりもしないお仕事も同様に私の一部のように思えるようになってきた。苦しいなあ・・・ゆえに愛おしい!
メレディス・モンクの『DOLMEN MUSIC』は1981年に新譜として発売された折に、行きつけのレコード屋さんの「ニュー・リリース」コーナーで見つけた。全く予備知識無し!完全なジャケ買いだった。今までジャケ買いに関してはハズレが一度も無いことは唯一の自慢かな。レコードだったので、帰宅後、スプレーをかけてドキドキしながら針を下ろす...まだ10代のくせにこういう風変わりなアーティストとの出会いが多かった。それは今もとても影響を受けているだろうし幸運にも思う。とても高いお声から低いお声までを駆使したそのヴォイスはヴォーカルであり楽器だと感じた。このお方の喉は大丈夫だろうか?と思ったりしながら、歌うことなど出来ない私はこの奇妙なヴォイスと音空間に聴き入り魅入った。いつ聴いても、やはり「GOTHAM LULLABY」という1曲目の1975年の曲がたまらなく好き!当時、よく友人たちと好きな曲をカセット・テープに録音しては交換していた。よくこの曲を入れていたのだけれど、反応は無かった。数年後、プログレやジャズも好きなミュージシャンでもあった友人や当店主とようやくメレディス・モンクの素晴らしさについてお話できる日が訪れたのだった。そんなことを思い出す。
1981年の私はというと、音楽はボウイ、映画はヴィスコンティ、愛読書はニーチェだった。結構丁寧に書物を読む気質だと思っているけれど、数冊だけはボロボロのものがある。そのほとんどはニーチェで、どうしても手離せなくてボロボロゆえに愛おしい。10代の最も多感な時期に巡り合えた御本や音楽、映画たち・・・不思議な符号が私の10代のあの限られた刻と重なることが多い。活字の力、声の美力を信じている今の私はあの蒼い私を苦笑しながら見つめる。
難解なニーチェながら私は好きなのだ、何故か今も。理解や研究などできないけれど、あのアフォリズムの数々の中に心に飛び込む言葉が多いから。ニーチェは音楽をとても愛していた。また、音楽と言葉が一致することは不可能だ...というようなことも語っている。メレディス・モンクというお方はご自分の内面から湧き上がる感情を音としてヴォイスで表現する。”歌う”という言葉が少し似合わない時もある。前衛的ではあるけれど、涙が出るほど優しい曲でもある「GOTHAM LULLABY」は不調な今朝の私に届けてくださった音なのだろう。でも誰が?・・・といつも不思議☆
★メレディス・モンクの「「GOTHAM LULLABY」です★
MEREDITH MONK / DOLMEN MUSIC