2011年06月05日
ジャック・イジュラン(JACQUES HIGELIN)『悪魔のシャンパーニュ(CHAMPAGNE)』
ジャック・イジュラン(JACQUES HIGELIN)は1940年10月18日生まれ。子供の頃から歌を歌ったり劇場に立っていたりしていたという。けれど、俳優として映画出演されるキャリアから注目され出す。マリー・ラフォレと共演したマルセール・ムーシー監督の『赤と青のブルース』(1960年)、ジュビス坊やことアントワーヌ・ラルチーグ主演のイヴ・ロベール監督の『わんぱく旋風』(1962年)でジュビス君の兄役も演じていた。また、あのカルト映画『アイドルたち』のマルク・O監督との出会いも大きいようだ。音楽的素養は天性のものだろうけれど14歳頃にシドニー・ベシェと出会いピアノを弾いたそうだ。次第に自分の言葉で演じたり歌ったりするようになる。ジャック・カネッティとの出会いからボリス・ヴィアンの曲等を歌い歌手としても作品を世に出す。その頃、演劇とシャンソンを融合したような不可思議なものを作っておられる。そのメンバーはブリジット・フォンテーヌとアレスキー・ベルカセムである。ピエール・バルーが彼等の才能に惚れ込み「サラヴァ(SARAVAH)」より作品を発表してゆく。最初はイジュランとアレスキーの連名による『HIGELIN&ARESKI』で1969年のこと。その時イジュランは30才手前だった。さらに、ジャック・イジュランがスターとなるまでにはまだ年月が必要であった。1979年頃からようやくイジュランの表現する世界が注目され人気を得てきたのは、サーカスを導入した演劇的なシャンソンとロックを融合した独自のステージにあったようだ。イジュランは40代になりフランスのスターとなる。遅いようだけれど、スターを目指して活動されておられたのではないだろう。そして、息子であるアルチュール・Hも素晴らしいアーティストとしてデビューされ活躍中。
私はジャック・イジュランというお方を気にし始めたのはブリジット・フォンテーヌとの楽曲たちによる。イジュランのあのお声が好き。子供の頃から掠れた声質だったそうだけれど、歳を重ねてゆく程にそのお声は深く渋味のある、なんとも素敵な響きに想っている。音楽もシャンソンでありながらロック(ニュー・ウェイヴの時期も)、けれどそれらの音楽はすべて「ジャック・イジュランの音楽」なのでカテゴリーは吹っ飛ぶ。クールかつデカダンなあの奇妙な魅力はイジュランの世界。でも、新しいフランスのロック・ミュージックを作り上げたお方には違いない。素晴らしい!また、イジュランの作品に参加されているミュージシャン方も凄く、フランスのプログレ人脈満載でツワモノ揃い。ジャック・イジュランの代表曲というとやはり『悪魔のシャンパーニュ(CHAMPAGNE)』は欠かせない。この1979年アルバムには、ミッキー・フィンがギターで参加されている。ミッキー・フィンなので触れてあるものを幾つか読んでみてもどれもあのT・REXのと書いてあるのだけれど、違うミッキー・フィンでミッキー・フィン&ザ・ブルーメンというバンドのお方。同じ名前なので情報が交錯していたのだろうけれど、T・REXのミッキー・フィンならばパーカッションも担当される筈だろうし。イジュランのアルバムに参加された方のミッキー・フィンは英国からフランスに活動の場を変えていたように想う。その年代は正確には知らないけれど、ニノ・フェレールのアルバムにも参加されている。もっと発見できるかもしれないな。ああ、ややこしいけれど愉しい。ジャック・イジュランの他の好きな作品は多数あるので追々にと想う。 また、イジュランはシャルル・トレネの大ファンでもあります♪
★ジャック・イジュランの「悪魔のシャンパーニュ」です★
JACQUES HIGELIN